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ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 [書]

GW後半は風邪ぽくて、咳が止まらない日々が続いたのでおうちでおとなしく積読してた本を読む。
咳がひどくてあまり集中して読めなかったけど。

筆者は第1章で未来を形作る以下の5つの要因を挙げている。
テクノロジーの進化
グローバル化の進展
人口構成の変化と長寿化
社会の変化
エネルギー・環境問題の深刻化

本書では2025年の未来を想定して議論が進むが、これらはすでに我が国で進展している事象である。
グローバル化が叫ばれて久しい。
高齢化は進み、労働者人口は減少をはじめている。(世界的には増加する一方だが)
都市化とともに過疎化が進み、地域のつながりは弱まり、家族とは住む場所が離れ、少子化は止まらない。
孤立する若者と老人。
原発が止まり、エネルギー問題を年中かかえる日本列島。
3.11以前は環境問題が叫ばれていたが、今ではすっかり聞かなくなった。かわりに中国からの汚染問題が取り上げられる。

さすが課題先進国ニッポン。
残念ながら日本のことについては本書であまり触れられていない。

これらの将来の要因に対して、3つの働き方の「シフト」を提案する。
いずれも価値観の変化を促すものである。
3つのシフトの内容はそれぞれ納得するものがある。
これらは今すぐに考え、行動に移せるものばかりである。
ただ、価値観を変えるというのは結構負担が大きい。
けれども今の40代以下の世代は本気で考えるべきものだと思う。

以下、本書に関して疑問に思ったこと。
日本の場合というか身近な感覚で思うのは本書で述べられているようなアバターとかはビジネスではなかなか浸透しないと思う。プライベートは別として。
高齢化が進んで労働する期間が延びると言うことはそれだけ世代交代が進まないことと同義である。
定年延長はその良い例である。
社内で権力を持つ人は相変わらず高齢な人たちで、テクノロジーの進化についていけない事が多い。
もちろん、高齢でも適応する人はいるけれどネットワーク効果が発揮されるティッピングポイントに到達する期間がそれだけ延びるだろう。

また、エネルギー・環境問題から移動をあまりしない未来を描いている。自宅での仕事が増えるとか確かにそうだろうけれどちょっと飛躍してる感が強い。モビリティもまたテクノロジーの進化によりエネルギー、環境問題を乗り越えるのではないだろうか。むしろ第5の戦場と呼ばれるIT分野に依存するのは安全保障に対して無関心すぎる嫌いがある。

エネルギー問題が未来の大きな要因になるのは疑いない。20世紀が大量消費社会ならば21世紀は持続可能性を追求する社会となる。エネルギーの無駄使いを減らし効率的に利用するための技術が鍵となる。資源を探り出し、掘り出し、効率的に輸送し、電気等に変換し、省電力で機械を生産し、動作する。その一連の要素すべてにおいて効率化が求められる。
エネルギー資源だけではなく、水・食糧もまた問題になる。都市化が進んで農業に適した地域が減少する。
リーマンショック前後で分かったのは、資源や小麦などの価格高騰は金融・経済問題との関連で発生した事である。
実体経済との乖離が生んだ悲劇があり、その連鎖を防ぐための方策が必要である。
その意味ではアベノミクスで生まれたお金の行方はどこへ行くのか不安を感じるとともに注視する必要がある。
必要なところへ必要な資金が流れる仕組みづくりが急務と言える。

また、自分たちの働き方はもちろんだが将来の子供世代に対してどのような教育を施すのかという点もとても重要だと思う。いまの学習カリキュラム(指導要領)は根本的な見直しを迫られるだろう。
過度な同質性を求められる学校文化は崩壊している。
教育こそイノベーションが必要なんだろうが、どこから手をつけたらいいか分からないくらい歪んでいる。

とまあ、発散するだけ発散してしまったが、休み明けから収束する方向で検討したいと思います。


ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

  • 作者: リンダ・グラットン
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2012/07/28
  • メディア: ハードカバー

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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 [書]

GW中にゲットして村上春樹の「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」読んだ。
前半のまどろっこしさに躊躇しつつ、読み進めて、いざ巡礼の旅が始まってからは割とスムーズに読めた。
個人的には「1Q84」のほうが面白かった。

以下、ネタバレ含みます。
孤独を感じる部分については程度の差こそあれ、誰しも感じたことがあるだろう。つくる君はたいそう凹んでますが、新しい環境に適応できないことが孤独感を増幅してる気がする。
また、高校時代の友人を訪ね歩く旅を巡礼として回ってますが、学生時代の友人が社会人になってから変化した様を社会人なら同じように感じる部分は多々あるだろう。
自分も30の頃に高校の同窓会に参加した際には少なからず変化している同級生を観て驚き、楽しんだものだ。
名古屋という地元に近い土地柄もまた、親近感を感じさせた。


全体的に結局何なの?という感じが拭えないのだが、何回か読み直すとまた印象が変わる気がする。
それが村上春樹的と言うことなのだろうということで雰囲気出てます。
雰囲気を味わいたい方はこんなのあります。


色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/04/12
  • メディア: 単行本

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ブラック・スワン降臨―9・11‐3・11インテリジェンス十年戦争 [書]

ブラック・スワン降臨―9・11‐3・11インテリジェンス十年戦争

ブラック・スワン降臨―9・11‐3・11インテリジェンス十年戦争

  • 作者: 手嶋 龍一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/12
  • メディア: 単行本
米国オバマ大統領のビンラディン急襲作戦から始まり、東日本大震災、津波そして福島原発危機に対する日本菅首相を対比させて描いた本書は「インテリジェンス戦争」とあるが、主なテーマはリーダー論にある。
そもそもインテリジェンスにはインテリジェンスサイクルというものが機能して始めて効果を発揮する。
対比させているとはいえ、米国が素晴らしくて日本がダメというわけではなく米国でもトップの都合の良い情報しか上がらなくなるという事例をブッシュ時代に起こっていたことを描いている。
そもそもリクワイアメント(要求)があってはじめてインテリジェンスサイクルが回るのであり、そうした要求をインテリジェンス部門にきちんと伝えなければ欲しいインテリジェンスは得られない。

トップが明確な要求を周りに伝えることが出来ていたのか?という点は日本の場合特に重要である。
太平洋戦争を始めておきながら終戦を決められず、天皇陛下の御聖断によって決したことからずっとこの国のトップが決められない時代が残念ながら続いている。
なにもそれは政治に限らない。
多くのトップが決められないことにより迷走を続ける企業は多い。

最近はやりのビックデータなんてのも目的もなく導入したところで失敗は目に見えている。
10年以上前にもビジネスインテリジェンスなんてのが流行った。データウェアハウスを作ったりした企業が今も機能している企業はどれほどあるだろうか?
Googleやamazonのようにビジネスの中核として機能する企業の多くは西欧諸国だ。


しかし、この国にもきっちりと終わりをみて準備をし、始めた日露戦争のような事例はある。
大学院時代に学んだ言葉に「はじめに終わりを考える」という言葉を学んだ。
これはレオナルドダビンチが残した言葉だが、自分はこの言葉を聞いてから日々の仕事の中で意識するようになった。
日本人だから出来ないわけではない。トヨタのプリウスのように明確なトップの要求によって成功した事例はある。

強い信念を持ちつづけられるかどうか。そして結果がどうなろうと受け入れる覚悟が持てるかどうか。
本書を読んでそんなことを改めて考えさせられた。

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スティーブ・ジョブズ (伝記) [書]

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ I

  • 作者: ウォルター・アイザックソン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/10/25
  • メディア: 単行本
スティーブ・ジョブズ II

スティーブ・ジョブズ II

  • 作者: ウォルター・アイザックソン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/11/02
  • メディア: 単行本
出生の部分については非常に内容の濃いものである。これは彼のルーツであり、その後の人生すべてに通じる部分、ある種トラウマと言っていいものが根底に流れている。
8月のCEO辞任にも触れるなど本当に直前まで述べられている。それでいて、このタイミングで世界同時発売だから著者、翻訳者および出版社など関係者の努力も素晴らしい。
本書の最初と最後にはこの本を出版する本人の意図が語られている。
自分の子供に自分のことを知ってもらいたいからだと。

決して良いところだけではなく、悪い面も述べられている。むしろ悪い面が多いと感じる。
決して彼は人間的に優れているわけではないのは多くの人に知られているが、世界を変える製品を次々と作り出すその想いの強さは常人を超えている。だからこそなしえたのだと思う。

しかし、知って欲しいとはいえ、言いたくないこともあるのが普通だと思う。けれどそうしないのは彼のスタンフォードでの有名なスピーチにもあるように死を前にしたら恥ずかしいとかプライドとかそういったものは些事なのだろう。自分の言葉どおりに行動したと言える。

本書は本当に多くの人の言葉を集めている。スティーブの言葉をそのまま載せるだけでなく、ちゃんと裏を取っている。こうした地道な作業が重なり、信頼性を高めている。あえて彼の家族とくに子どもたちの言葉が少ないのはスティーブの意図を汲んでのことだと思う。

アイコンではない、人間スティーブジョブズを表した素晴らしい伝記である。
歴史に残る人物と同時代に生きた喜びと彼の生み出した数々の製品に触れられた事に改めて感謝。

合掌。

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決壊 [書]

決壊〈上〉 (新潮文庫)

決壊〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/05/28
  • メディア: 文庫

決壊〈下〉 (新潮文庫)

決壊〈下〉 (新潮文庫)

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/05/28
  • メディア: 文庫

決壊という世界のリアルさ、構造は非常に完成度が高い。しかし読後感は決していいものではないので人に勧めやすい本ではないと思う。

この作家、平野啓一郎という人は天才肌ではなく、すごい勉強家という印象を持った。この決壊という世界を構成する要素は多岐にわたる。9.11やイラク戦争という国際的な問題から、少年犯罪、犯罪報道におけるメディアの問題、そしてネット上におけるプライバシーや暴力性などそれら一つ一つが非常に精緻に描かれている。だからリアリティを感じ、悪魔の存在がリアリティの対極として浮き上がる。


人は利己的な動物であり、利他的であるのはそうすることが自己に有利に働くという利己的行動の結果である。人に優しくするのはそうすることで自分が気持ちよくなれるからという利己的満足を充足するためのものである。って行動経済学の本で読んだことがある。

自分にとって大事なものや人というのは自己と一体化しているものが多い。
ある日、健康診断で病気を宣告されて初めて健康というものの価値に気づく。
震災によって自分のことを心配してくれる人が自分にとってかけがえのない人だと気づく。
危機に直面して初めてそういうものに気づく。

本書の中で、主人公の弟が悪魔に裁かれるシーンがある。
私は悪魔に直面した時の弟の言葉に違和感を感じた。

自分の命が大切ならば命乞いをしただろう。そうしないのは本当に彼が家族を愛しているか、自己のプライドを守るためくらいしか思いつかない。
死を直前にしてプライドって弱い気がする。誰かに見られているわけでもないし、そんな危機的状況に周りのことに気が回るはずがない。

だから、みっともなく命乞いをするか、自分の本心をいうかどちらかしかない。
彼は後者だった。「家族を愛している」などと言えるのは彼が生きているから言えることであり、死んでしまったら意味のないことである。仮に命乞いをして救われたとしたら、その時初めてその言葉が出てくるのではないか?

その不合理性こそが人間なのだよと言われればそうだろうと思うが、本書の中であの瞬間こそ最も光り輝いた一瞬であるとすれば、それはまた悪魔と同等の極点だと私は思う。


葬式というものは、死によって故人が自分と同一の世界から分離し外部化されたという事実を確認する行為の集合である。その中で故人との最後の言葉は自己の中で内部化していた故人を外部化することそのものである。


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ネットバカ [書]

ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること

ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること

  • 作者: ニコラス・G・カー
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2010/07/23
  • メディア: 単行本
邦訳のタイトルが直接的すぎ。
内容はネットを生活の中でたくさん使う(依存する)人は注意力がなくなっているということについていろいろ述べている。
あー、自分のことだなと思いながら読んだ。
厚い本を読むのに集中できないことが多いと自覚してる。
ダラダラと読んでもなかなか頭に残らない。
こうした変化は神経可塑性によって適応した結果らしい。

こうした読み手の変化は書き手側にも変化を引き起こしている話もあって面白い。日本のケータイ小説のことにも触れられている。
あんまり回りくどい表現は好まれないとからしい。そうすると読解力などの能力が伸びないなどの問題があるらしい。

記憶は外部(つまりネット)に任せて人間は計算や創造性などに脳をつかうようにしたらいいという意見は多数生まれた。しかし人間の記憶力というのは言われるほど小さくない、実質ほぼ無限の記憶力がある。使いこなせていないだけだ。
むしろ記憶しないことによって、脳の中に活用できるリソースが減って創造性など人間が機械よりも向いている能力、音楽家が楽器を自分の身体の一部のように扱うと言ったことが十分にできないなどのデメリットがある。

グーグルが検索以外のことを手広く行っているのはネットの閲覧時間を増やすことだという指摘はなるほどねと思った。
マスタードの売り上げを増やすためにはホットドッグを売ればよいっていう事だ。それは確かに成功している。



書いててこのくらいのことしか残せない。。。

でも、読み終わってこれは何もネットに限った話ではなく、昔はテレビを見るとバカになる言ってたことと同じ事だろと思った。
幸いにもネットから遠ざかり、田舎で静かに生活することで注意力は戻るらしい。夏休みは静かなところでネットから遮断された生活を送るのも良いなと思った。

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チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る [書]

チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る

チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る

  • 作者: 大河内 直彦
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/11/27
  • メディア: 単行本
良書。
地球温暖化について非常に丁寧に書かれている。
地質学、天文学、物理学等々様々な学問、技術が組み合わさり科学が進歩し
古代の地球の状況から現在までつづく事実を紡いできた事が分かる。

そもそも、温暖化を語るときに数万年前の気温がどうして分かるのかという基本的なことから丁寧に説明してくれる。中学生くらいでも理解出来るほどに易しく解説が加えられているから読みやすい。
本書には筆者の科学者として、先人の気の遠くなるほど膨大な作業の積み重ねがあってこそという尊敬と感謝の念を感じる。

恥ずかしながら温暖化の原理を良く理解していないことを本書によって知ることが出来た。
温暖化には欠かせない二酸化炭素がなぜ悪役なのか、そして温暖化の真の恐怖とは何なのかは本書で述べられている。
温暖化の仕組みとしては、8章の海洋深層水の影響がすごく興味深かった。欧州が温暖化対策に熱心な理由もこのメカニズムからすれば最も影響を受ける地域だということからも納得である。

温暖化のスイッチが入る前にできることは何なのか、求められるのは節電ではなく、イノベーションだと思う。


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昭和16年夏の敗戦 [書]

いうまでもなく昭和20年夏が本当の敗戦であるが、タイトルにある昭和16年の敗戦とは当時総力戦研究所に集められた若手官僚・軍人・民間人を集めてシミュレーションした結果の事である。
戦争に突入する前に結果が出ていたにもかかわらずなぜ?という素朴な疑問があるが、それはシミュレーションの前提条件がせまりくる現実とは異なっていたこと、敗戦の原因となる石油の備蓄量を陸海軍でそれぞれ機密事項として共有できなかったこと、そして空気により戦争へ踏み切ったトップによる意志決定であったことなどがあげられる。

本書で述べられる東条英機の姿というのは生真面目な人間である。昭和天皇に絶対の忠誠を尽くし苦悩する姿をみると、すくなくとも極悪非道なA級戦犯とは一線を画する人物であるように思う。

シミュレーションの結果が生かされなかったのは総力戦研究所の位置づけなどが曖昧で結局若手の研究結果を発表したに過ぎなかったこと。合理的に考えればシミュレーションなどしなくとも結果は分かっていた。それにもかかわらずなぜ戦争へと突き進んだのかというと組織論などに帰着するのだけれど「空気」によって反対意見を抑圧してしまう精神性というかプリンシパルの欠如というかよく言われる結論になってしまう。

今回の原発災害に際して、未然に抑止することには多くのリソースを割り当てるけれども復旧・復興に際してはほとんどリソースを割り当てられていなかったことが明らかになった。過去何度も原発事故の危険性について指摘されながら、「あり得ない」として想定から外してきた結果が現実のものとなり、米やフランスの技術援助を得ながらも沈静化する様子はない。事故前に言われていた日本の安全管理というのは決して高いものではなかったことが世界にさらされた。

私たちはこの現実から目を背けることなく見届けなくてはならない。
せめて次の世代に同じ不幸な目に遭わせないためにもこの失敗から学び、このような不幸や危機にさらす機会を少なくすることが今の自分たちに出来ることだと思う。

昭和16年夏の敗戦 (文春文庫)

昭和16年夏の敗戦 (文春文庫)

  • 作者: 猪瀬 直樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1986/08
  • メディア: 文庫

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フェイスブック 若き天才の野望 [書]

ダラダラと読んでしまったため、内容があまり頭に入っていない。また機会があれば読み返したいと思う。
可処分時間がtwitterにだいぶ使ってしまっているのが、原因なのだが電車の中などはiphoneで気軽に読めるのが大きい。また一つのメッセージが短いのも電車向きだと思う。

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

  • 作者: デビッド・カークパトリック
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2011/01/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

さて、本書の内容だが前半はフェイスブックの成り立ち、後半は様々な機能拡張などによって引き起こされた事件を通して利用者や政府など様々な人々のフェイスブックに対する見方やそれに対するザッカーバーグ達の対応や考え方、成長などを通してソーシャルネットワークの世界を俯瞰している。

今年に入ってチュニジアやエジプトが革命といっていい変化が起きたが、これらはフェイスブックやツイッターによる影響を指摘している記事もちらほら見る。そうした事実を見ると本書に書かれているように社会がどんどん透明になっているように思える。正直読んだときはザッカーバーグの考えは若さ故の純粋さだなと感じた。人は多面的な顔を持つのは確かで、会社、家庭、地域などなど様々な役割を演じながら一つの人間を形成している。しかし、フェイスブックではリアルと同じソーシャルグラフを持ちながら複数の顔を使い分けることが出来ない。アカウントを複数持てばいいと思うが、フェイスブックは優れた推測エンジンを持ち、同じ人物である可能性が高いと警告されるらしい。

すでに日本ではそうなっているがケータイからのネット接続が普通になる世界の中で、匿名、実名問題というのはあまり意味を持たない気がする。技術的にはある程度追跡可能だし、事実恐喝事件などでは捕まっている人もいる。ネットだから言いたいこと言っていいわけではなく、普通の社会に近づいていると思う。むしろ言語解析、検索技術の向上によって実社会より捕まりやすいかもしれない。証拠も残るし。

フェイスブックやmixiといったSNSを使うのも使わないのも本人次第だけれど使いこなせるようになる方が良いだろう。独り身ならば生存確認に使える。書き込みを残せば存在したことが形として残る。それを見てつながりのある人はその人がいたことを確かめられる。
会社をはじめとする組織そのものが従来ほど依存できるものではないことが金融危機などを通じ,決して他人事ではなくなった。個人として出来ることは小さくて脆弱な事が改めて分かった。そしてSNSを通じてつながりの良さ、強さに改めて気づいた。バラバラの個人がSNSを通じてまとまったからこそチュニジアやエジプトでの出来事が起きたと考えられる。それが世界に示された。

世界は混沌へ向かうのか、秩序へと収束するのか分からないが、ソーシャルグラフの力を見せつけられたのは事実である。それはきっと若き天才の意図したものを超えていたのではないだろうか。

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マッキンゼーITの本質 [書]


マッキンゼー ITの本質 情報システムを活かした「業務改革」で利益を創出する (The McKinsey anthology)

マッキンゼー ITの本質 情報システムを活かした「業務改革」で利益を創出する (The McKinsey anthology)

  • 作者: 横浜 信一
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2005/03/04
  • メディア: 単行本



IT活用上の課題はずっと同じ事を語られている。
いわく、
現行のシステムの維持・運営に支出の過半がとられ、新しい分野へ回す予算が確保できない。 大切な戦略投資がずるずると後回しになってしまう。 ユーザー要件が決まらないために使われるかどうか分からない機能を盛り込んでしまう。結果としてコストがふくらみ、しかも使われない。 本社主導で業務システムを作ったが、現場のニーズに応えられないため、使われない。現場で工夫下見にシステムを作ってしまう。 ERPやCRMなどのパッケージを導入したが使いこなせない。 社内における戦略立案の過程に情報システム部門が参画していない。 事業部門がそれぞれ独自の投資を行ったため、社内システム全体が複雑化してしまっている。


これらの原因として5つの理由が挙げられている。

1.ITの企画、推進に関するアカウンタビリティが明確でない 2.目標がQCDの面から定められていない 3.外来語を意味が曖昧なまま受け入れる 4.ベンダーとの協働が必須にもかかわらず、うまく活用できない 5.システムの完成自体が目的化し、成果や構築プロセスが見落とされがち


。。。胸に突き刺さる思いである。
突き詰めると1と2についてはトップの関与が必須であり、組織としての成熟度に依存する。
3についてはユーザー企業はもとより、専門化であるITベンダーも誤解、曲解して使っていることがある。
4と5については構造的な問題がある。つまり、ITベンダーはシステムを納入することがゴールになりがちで顧客の生産性、顧客満足度の向上がベンダーの直接の利益にならないからである。
一方で、ユーザー企業は生産性、顧客満足度の向上を目指すが、それぞれの立場から目的を共有できず、結果要件がまとまらない。そして、それをシステムにうまく実装できない。

2章以降は米国を中心とした話であるが、日本にももちろん通じる話である。しかし、海外は情報システム部門を抱えている一方で、日本はITベンダーがシステム開発の中心という点で少し環境が異なる点は注意したい。

業務とシステムの関連性が強まるなか、日本のIT構造はスピードに劣りコストもふくらみやすい。
問題の大半は要件定義にあるので開発に着手する前の検討が重要である。この部分ではITベンダーはお金にならないので積極的には関与できない。コンサルはお金がかかるし。。。という企業も多い。

クラウドの発展により業種クラウドなどが出現すればITベンダーの統合も進むだろう。海外の大手クラウドベンダーはここをバリューゾーンと見て攻勢をかけてくるだろう。業種、業務ごとのPaaSパッケージが生まれるのは間違いない。先日のクラウドフォーラムではそういうお話しだった。そうなる前に各業界、ユーザー企業こそが主導的にプラットフォームを開発し、先行者利益を取りに行こうとけしかけていた。

5年前に書かれた本書であるが、今も状況はあまり変わりない。
まあ、30年以上語られていることが早々変わることはないわけで。。。
トップの意識が変わるのが速いか、世代交代まで待つか。
クラウド元年の今年〜来年が分水嶺になる気がする。
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